母が運転免許証の更新をせずに返納した。
運転免許証に本籍が載らなくなった今、身分証明書としてはパスポートより劣るし、もはや何をを証明する年齢でもなく。
むしろ何より乗り物に乗らず歩くのは良い。
歩けなくなったらお終いだ。
ということで、ヤマハPassolに続き乗って(持って)いたスクーター、SUZUKI Choi-Noriが宙ぶらりんになった。
自分や兄弟、近所の仲間も既に腰が重く、誰も乗りそうに無い。
その時とある所でアシの下駄車を探しているという人に会った。
利害関係一致。
今日、これからこのマシンを引き継ぐ。
引き継ぎに先立ちこのマシンの紹介をしよう。
SUZUKI CZ41A チョイノリ
スズキ(株)の威信をかけて作られた低くシンプルなフォルム。
乾燥重量はレギュレーション最低重量の39kgまでに絞られている。
走行距離はたったの429km。
走行毎に日石三菱ProSPEC-4Tレーシングオイルを入れ替え、マイクロロン処理を施し、やっとバーンインが終わったばかりだ。
フューエルはプレミアムガソリンオンリー。
外観はほぼ新車状態を保っている。
車体に合わせ低くまとめられたフロントフェアリングは、オーバー300km/hの速度域からライダーを守る。
MoviStar Telefonicaのスポンサードを受けると共に、加藤大治郎選手に敬意を表す。
フットエリアはライディングポジションの自由度が高いステップスルータイプで、荷重移動も容易である。
エンジンカバーは、チタンやマグネシウムの重量をも凌ぐ、エンプラ(Enjiniringu Plastic)製である。
そして究極の軽量化を求めた結果、何とエンジン内のカムまでエンプラを採用している。
昨今のグランプリシーンですっかりお馴染みになった、車体裏に取り回されたショートマフラーは、最高の排気効率を約束する。
前後とも10インチ径2.15インチ幅の超軽量プレスホイールと80/90サイズのスクエア扁平のタイヤが、2.0ps/5,500rpmのパワーを支える。
正立テレスコピック式フロントサスペンションはトップスピードからの減速を確実に支える。
サスペンションを配さない、リジッドリアセクションはエンジンパワーを確実に路面へ伝える。
オートバイの説明はコレくらいにして、早速スタート。
あっという間に新横浜。
今日は暑い。
そしてすぐに日大日吉前。
初夏の新緑だ。
労災病院前から武蔵小杉の高層マンションが見えて来た。
運行は極めて順調。
多摩川の丸子橋。
もう都内へ。
チョイノリはとても調子が良い。
変速機の無い遠心クラッチのみでエンジンとリアタイヤが直結されている。
そのリアタイヤはノーサスペンションのリジッドでフレームに直結されている。
たった49ccのエンジンなのに、とてもパルシブな鼓動を伴い、小気味よく加速する。
そう、エンジンはハーレー・ダビッドソンと同じOHVなのだ。
これほどにシンプルで気持ちの良いモーターサイクルは滅多に無い。
チョイノリ、良いオートバイだ。
さて、綱島街道から環八を過ぎてすぐに左折し、自由通りに入る。
約束の時間よりかなり早い。
ここら辺で休憩しようか。
我が街、自由が丘の緑道。
ここのモンソーフルール前のベンチが最高なんだ。
しかし奥沢からここまで、カフェやらトラットリアやらが立ち並び、目移りし止まれない。
そのまま自由が丘を通過してしまい、駒沢へ行けばまたあろう、と八雲のあたりに差し掛かったところ、交通標識の影に小さなノボリが。
フルブレーキングして止まる。
この佇まい。
何だここは。
潜入。
真っ白な大きな暖簾。
八雲茶寮というお店らしい。
茶室に案内される。
客人は私ひとり。
店内は撮影禁止。
Web上に上がっているのはお品書きの読めない海外の客人が撮ったものが多い。
湯注ぎの方に聞いたら、こっそり、と言ってくださった。
食事の他に、日本茶、和菓子、少しのお酒など。
本日の菓子を10種類ほど持ってきてくださり、そこから二品選んだ。
茶はやぶきた。
静岡県葵区黒俣、清沢西共同製茶組合、特選本山普通蒸煎茶。
甘みがあり、コクが強めなのに、澄んだ色が特徴。
湯注ぎの方が頃合いを見計り、三煎注いでくださる。
茶葉を休ませる間に蓋を半開きにするのは、蒸れ過ぎないようにするため。
きぃ房茶さんで教えてもらった。
三煎目を注ぎ終えた後に急須を下げようとするので、声を掛ける。
すると、良くご存知で、と整えてくれたのは。
極上の茶葉は、出し終えた後にお浸しとして食べると甘くて美味しいのだ。
普通はこうして提供はしないそうだが、急須の中の茶葉の様子がとても良かったので申し出たところ、良く分かっていらっしゃる湯注ぎの方は快く対応してくださった。
八雲茶寮。
建物、調度、接客、器、箸、そしておしぼりまで全て高次元だった。
丸首シャツで入るお店ではなく程なく時間も過ごし、ロシア人客と川奈帰りのスーツ紳士が見えたので失礼する。
っと、帰り際に見送りの人とワンセッショントークで次回の約束。
そして本日の目的地、三軒茶屋に到着。
走行距離は461km。
たったの32km。
しかしとても濃かったチョイノリ最後のグランド・ツーリング。
そう、今日でお別れ。
次のオーナーに手渡すためのツーリング。
キーを渡し、握手をして、すぐに別れる。
男同士のハナシは短いのだ。
彼はこの原点的オートバイで、良い旅をするだろう。
旅から帰って来たら、君の店のカウンターで美味しい一杯を入れてくれ。
Godspeed!
運転免許証に本籍が載らなくなった今、身分証明書としてはパスポートより劣るし、もはや何をを証明する年齢でもなく。
むしろ何より乗り物に乗らず歩くのは良い。
歩けなくなったらお終いだ。
ということで、ヤマハPassolに続き乗って(持って)いたスクーター、SUZUKI Choi-Noriが宙ぶらりんになった。
自分や兄弟、近所の仲間も既に腰が重く、誰も乗りそうに無い。
その時とある所でアシの下駄車を探しているという人に会った。
利害関係一致。
今日、これからこのマシンを引き継ぐ。
引き継ぎに先立ちこのマシンの紹介をしよう。
SUZUKI CZ41A チョイノリ
スズキ(株)の威信をかけて作られた低くシンプルなフォルム。
乾燥重量はレギュレーション最低重量の39kgまでに絞られている。
走行距離はたったの429km。
走行毎に日石三菱ProSPEC-4Tレーシングオイルを入れ替え、マイクロロン処理を施し、やっとバーンインが終わったばかりだ。
フューエルはプレミアムガソリンオンリー。
外観はほぼ新車状態を保っている。
車体に合わせ低くまとめられたフロントフェアリングは、オーバー300km/hの速度域からライダーを守る。
MoviStar Telefonicaのスポンサードを受けると共に、加藤大治郎選手に敬意を表す。
フットエリアはライディングポジションの自由度が高いステップスルータイプで、荷重移動も容易である。
エンジンカバーは、チタンやマグネシウムの重量をも凌ぐ、エンプラ(Enjiniringu Plastic)製である。
そして究極の軽量化を求めた結果、何とエンジン内のカムまでエンプラを採用している。
昨今のグランプリシーンですっかりお馴染みになった、車体裏に取り回されたショートマフラーは、最高の排気効率を約束する。
前後とも10インチ径2.15インチ幅の超軽量プレスホイールと80/90サイズのスクエア扁平のタイヤが、2.0ps/5,500rpmのパワーを支える。
正立テレスコピック式フロントサスペンションはトップスピードからの減速を確実に支える。
サスペンションを配さない、リジッドリアセクションはエンジンパワーを確実に路面へ伝える。
オートバイの説明はコレくらいにして、早速スタート。
あっという間に新横浜。
今日は暑い。
そしてすぐに日大日吉前。
初夏の新緑だ。
労災病院前から武蔵小杉の高層マンションが見えて来た。
運行は極めて順調。
多摩川の丸子橋。
もう都内へ。
チョイノリはとても調子が良い。
変速機の無い遠心クラッチのみでエンジンとリアタイヤが直結されている。
そのリアタイヤはノーサスペンションのリジッドでフレームに直結されている。
たった49ccのエンジンなのに、とてもパルシブな鼓動を伴い、小気味よく加速する。
そう、エンジンはハーレー・ダビッドソンと同じOHVなのだ。
これほどにシンプルで気持ちの良いモーターサイクルは滅多に無い。
チョイノリ、良いオートバイだ。
さて、綱島街道から環八を過ぎてすぐに左折し、自由通りに入る。
約束の時間よりかなり早い。
ここら辺で休憩しようか。
我が街、自由が丘の緑道。
ここのモンソーフルール前のベンチが最高なんだ。
しかし奥沢からここまで、カフェやらトラットリアやらが立ち並び、目移りし止まれない。
そのまま自由が丘を通過してしまい、駒沢へ行けばまたあろう、と八雲のあたりに差し掛かったところ、交通標識の影に小さなノボリが。
フルブレーキングして止まる。
この佇まい。
何だここは。
潜入。
真っ白な大きな暖簾。
八雲茶寮というお店らしい。
茶室に案内される。
客人は私ひとり。
店内は撮影禁止。
Web上に上がっているのはお品書きの読めない海外の客人が撮ったものが多い。
湯注ぎの方に聞いたら、こっそり、と言ってくださった。
食事の他に、日本茶、和菓子、少しのお酒など。
本日の菓子を10種類ほど持ってきてくださり、そこから二品選んだ。
茶はやぶきた。
静岡県葵区黒俣、清沢西共同製茶組合、特選本山普通蒸煎茶。
甘みがあり、コクが強めなのに、澄んだ色が特徴。
湯注ぎの方が頃合いを見計り、三煎注いでくださる。
茶葉を休ませる間に蓋を半開きにするのは、蒸れ過ぎないようにするため。
きぃ房茶さんで教えてもらった。
三煎目を注ぎ終えた後に急須を下げようとするので、声を掛ける。
すると、良くご存知で、と整えてくれたのは。
極上の茶葉は、出し終えた後にお浸しとして食べると甘くて美味しいのだ。
普通はこうして提供はしないそうだが、急須の中の茶葉の様子がとても良かったので申し出たところ、良く分かっていらっしゃる湯注ぎの方は快く対応してくださった。
八雲茶寮。
建物、調度、接客、器、箸、そしておしぼりまで全て高次元だった。
丸首シャツで入るお店ではなく程なく時間も過ごし、ロシア人客と川奈帰りのスーツ紳士が見えたので失礼する。
っと、帰り際に見送りの人とワンセッショントークで次回の約束。
そして本日の目的地、三軒茶屋に到着。
走行距離は461km。
たったの32km。
しかしとても濃かったチョイノリ最後のグランド・ツーリング。
そう、今日でお別れ。
次のオーナーに手渡すためのツーリング。
キーを渡し、握手をして、すぐに別れる。
男同士のハナシは短いのだ。
彼はこの原点的オートバイで、良い旅をするだろう。
旅から帰って来たら、君の店のカウンターで美味しい一杯を入れてくれ。
Godspeed!
コメント
チョイ呑み、私はどんなに呑んでも一杯が限度なので、まさにそれ。