ザ・日本のオーディオ ~ LUXMAN LXA-OT1

あの頃、オーディオと言えば黄金の趣味。
ちょっと良い感じの友人宅に行くと、必ず壁一面にステレオコンポーネント一式が鎮座していた。

今オーディオといえば、iPod等のポータブルプレーヤーとヘッドフォン。
それらは私に言わせれば究極のラーメンのようなものだ。

かくして、往年のオーディオ専業メーカーは次々と難破し、残ったメーカーは本当に確かな製品を粘り強くリリースし続けたメーカーか、オカルト効能を唄い超高額品を極超少数に売り、自転車を漕ぐかのどちらかになってしまった。

そんな今日、本屋で分厚いオーディオ誌を発見。
音楽之友社刊、STEREO誌の2012年1月号である。
何と本号にはあのLUXMANが監修した小さなアンプがオマケに付いているではないか。
早速購入。
ミドルハイな価格帯製品を得意とするこのメーカーが、こういう遊び心を持っていたとは。
いや、若い遊び心があったから今でも生き残っているのに違いない。

帰宅しメインのSANSUI AU-α907Limitedを切り離し、LXA-OT01を繋ぐ。
入り口はDENON DCD-1650SR-N、出口はFOSTEX FE88ES-Rのスワン。
RCAケーブルはこの価格帯では出色の音色で有名。ザ・家電という売り場に置いてある有名なウルトラハイC/Pの逸品をチョイス。

電源スイッチ兼のボリュームを少し上げる。
ポップノイズはほぼ無し。
5W+5Wの出力はボリューム8分目位で私の常用音量。
普通の家なら苦情の音量。
フルボリュームにしてもクリップ感は少なく、多少ローエンドが追いつかなくなったな、という感じ。
音量最大で会話をするならチークタッチしながら、の位。

そのままCDを取っ替えひっかえ、2時間程鳴らす。
何だろう、このアンプ。
幾つか聴いたデジタルアンプは、どれも良く冷えたミネラルウォーターのような印象を持ったのだけれど、これは白湯か、いや琥珀色の何かが入ってる。

割りと音量リッチな聴き方なので、電源容量が追いついていないのを引いても面白い音。
TA-2024を積んだSONIC IMPACTと比べても全然違う。
分解能や音場は程々だけれど、初めてSANSUIのMOS-FETアンプを聴いた時のヘッ?!?という戸惑いに近い印象の個性のある音色。
以前LUXMANのL-309Vを使っていて、その前に前に出てくる明るく幸せな音を少しだけ思い出す。

よくこの値段のデジアンでこういう音を出せたものだ。
冬休み、楽しく暖かく音楽を聴いてみたい人は、売り切れる前に買うがよろしい。

■追1
4時間ほどで随分音が変わってきた。
解像感も上がり低域のパワーも出てきた。
音場が暗がりで白熱灯を一灯だけ灯したような、丸くそれほど広くない、けれども境界は壁ではなく、暗がりの向こうに何かあるような。
Quincy Jones Q's Juke Jointのラストが消えて行くように聴こえる。

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